生命保険契約Q&A

生命保険編

Qシングルマザーですが、生命保険の受取人を4歳の子供(前夫との子)でも問題ない?

Q:昨年、酒乱の夫と離婚しその際に前夫との間の子供を引き取りました。親権も自分です。自分に万一のことがあった場合に備え、生命保険に加入したいのですが、受取人を4歳の子供にしても問題ないでしょうか?

A:未成年の子供を受取人にすることはおススメできません。なぜなら、未成年の子は単独で保険金を請求できないからです。そのため、一般的には家庭裁判所での未成年後見人選任を経てその方が請求することとなります。こうした手続きに要する手間や時間等考慮すると、未成年の子供を受取人にするよりも、信頼できるご自身の父親や母親を受取人にして万一の際の子供の面倒を託しておいた方が得策ではないでしょうか。なお、契約者、被保険者ともご自身であれば、親を死亡保険金受取人とした場合には子を死亡保険金受取人とした際と同様、「相続税」として課税対象となります。ただし、この場合親は相続人ではないため、生命保険金の非課税枠は適用されません。

Q祖父が自分のために加入した生命保険、契約者を自分に変更すると贈与税がかかる?

Q:現在私は23歳です。私が5歳の時に、祖父が私の将来のためにと私を被保険者として祖父が契約者となり20年満期の養老保険に加入しました。満期時の受取人は私で、死亡時の受取人は私の母です。今年、社会人となったこともあり、この契約の契約者を自分に変更したいのですが、その際に贈与税がかかったりしませんか?

A:変更時点では贈与税はかかりません。ただし、2年後の満期時に祖父が生存していれば祖父の負担した保険料割合相当が贈与として認定され、あなたに贈与税の支払い義務が生じます。例えば、満期金が200万円、20年間の保険料負担のうち18年間祖父が負担したとすると、「200万円×(18/20)=180万円」が祖父からあなたへの贈与として認定されます。また、あなた自身が支払われた2年分については一時所得の対象となります。計算式は「(200万円×2/20-支払保険料-50万円)×1/2」となります。

Q夫が末期がんで余命を宣告され入院、生命保険のリビングニーズ特約を請求したほうがいい?

Q:夫がガンを再発し末期のがん治療のため入院しています。家族の私たちは医師から3ケ月の余命宣告を受けています。夫は職場で生命保険に加入していて、万一の際には2000万円の保険金が保障されます。夫が亡くなってからもらうより、生きてるうちに夫が少しでも使えるようにした方がいいのではと考え、リビングニーズ特約の請求を考えています。税金面等含め損になったりしませんか?

A:リビングニーズ特約は余命6ケ月以内の医師の診断があれば、その時点で死亡保険金を前払いで受け取ることができる特約です(保険金に上限あり)。生前給付型であるため、本人が生きてる間の医療費の支払いや本人の希望を叶えること等に充てることができます。一方、受取時には6ケ月間の保険料と利息相当分は控除されます。なお、この特約保険金の受け取り時の税務は「身体の障害に起因して支払われる保険金に該当するものと取り扱っておりその保険金は非課税(所得税法施行令30条」となっています(家族が受けとっても同様)。ただし、相続開始時(ご本人が亡くなられた際)に残額があれば本来の相続財産として相続税の課税対象となり、いわゆる「相続税の非課税財産(法定相続人数×500万円)」の適用はありません。以上から、一概に損得の判断は出来ずリビングニース保険金として受け取るか、死亡後のみなし相続財産として受け取るかは、諸般の事情を鑑みて判断されるのが良いでしょう。

Q夫の生命保険の受取人が義母のまま、夫が急死。私は全く受け取れないの?

Q:夫の生命保険は夫が独身の頃に加入したもので、その際死亡保険金受取人を義母にしておりました。結婚後は受取人を私に変更する話になっていましたが、夫も仕事が忙しく手続きをしないまま結婚半年が過ぎたころ、夫は交通事故で他界してしまいました。お腹の中にはすでに夫の子が宿っており、6ケ月後には出産予定です。義母はこの生命保険金を私に受け取らせたいと考えていますが、贈与税がかかることを心配しています。やはり私が受け取ると相応の贈与税がかかってしまいますか?

A:大丈夫です、贈与税がかかることなく、受け取ることが可能です。相続税基本通達3-12において保険金受取人の実質判定が定められています。これは、保険契約上の受取人以外が現実に保険金を取得している場合において、今回のようなやむを得ない事情で受取人変更等がなされていなかったときはその取得した者を保険金受取人とするものです。したがって、契約者、被保険者とも夫であれば相続税としての課税対象となります。

Q借金のカタに生命保険金は取られてしまう?

Q:自営業の夫が事業上の借金を残したまま事故で亡くなりました。唯一夫が残してくれた財産が3,000万円の生命保険金なのですが、これを借金の返済に充てるとほとんど残りません。できれば今後の生活費や子供の教育費に充てたいのですが、やはり虫が良すぎるでしょうか?

A:大丈夫です、借金返済に充てることなく生命保険金全額を受け取ることが可能です。民法上、生命保険金は受取人固有の財産であり、相続財産ではありません(分割協議の対象外です)。そのためには、まずは、相続を知った日から3ケ月以内に相続人全員で「相続の放棄」を被相続人の住所を管轄する家庭裁判所に申述書を提出し、受理されることが必要です。それをしないと、負の借金も相続することとなり結果的に受け取った生命保険金で返済することにもなりかねません。ですので、日頃から事業の借入金等の情報についても夫婦や家族間で共有しておくことが大変重要です。相続を知ってから3ケ月を過ぎて債権者が現れると、相続放棄そのものができなく恐れがあります。なお、本件のように相続放棄している場合には、相続税法第12条にある「生命保険金の非課税規定(500万円×法定相続人数)」は適用されません。

Q退職金で1,000万円の一時払外貨建終身保険に加入、将来解約した場合の税金はどうなるの?

Q:銀行から勧められて、退職金の中から保険料1,000万円の一時払米ドル建終身保険に加入しました。目標値120%で設定していますが、将来解約した場合税金はどうなりますか?

A:終身保険に加入して解約した場合、解約返戻金が払込保険料を上回ったときは一時所得扱いとなります。一時所得には特別控除として50万円の非課税枠があります。今回のケースでは目標値120%設定とのことですので、解約返戻金が1,200万円になった時点で、円建てに切り替わるタイプのものと推察します。仮にその際にすべて解約したとすると、(解約時受取額1,200万円ー払込保険料1,000万円ー特別控除50万円)×1/2=75万円が一時所得と認定され、所得税及び住民税の課税対象となります。しかし、この契約を複数件に分けて契約しておくと税金面で大きな差がでてきます。例えば本問ですと、1,000万円を250万円の一時払保険料として4件に分けて契約しておけば、1件あたり250万円×目標値120%で50万円の収益となり特別控除の範囲内に収まり、毎年1件ずつ解約(計4件)することで結果的に一時所得としての課税は発生しません。このように、同じ1,000万円を同じ商品で運用をしても契約のあり方ひとつで税金面でかなりの違いが生じることになるのです。したがって、こうした資産性の生命保険商品では課税関係に着目することも大変重要で、保険契約を複数に分けたり、解約時期をずらすことで課税される税金そのものが変わってくることを念頭に、契約する際にはしっかりと確認されることをお勧めします。

Q地方公務員ですが、民間の医療保険に加入するメリットってある?

Q:私は地方公務員です。積立型保険について相談しに保険ショップに行ったところ、同時に医療保険の加入を勧められました。ですが、私のような地方公務員は「共済組合」に加入していて、「付加給付」により病気やけがで入院しても1ケ月2.5万円ほどしか自己負担がありません。それでも、やはり民間の医療保険にも加入したほうがいいのでしょうか?

A:結論から言うと、その方の考え方によります。民間の一般企業の多くの労働者が加入する健康保険の多くは都道府県が運営主体の「協会けんぽ」ですが、国家公務員、地方公務員の健康保険はそれぞれの「共済組合」が運営しています。両者の決定的な相違点の一つが共済組合には「付加給付」があるということです。この給付は、ざっくりいうと1ケ月の自己負担金額が2万5千円 (一定の収入以上の者は別途自己負担上限あり)を超えた分は後日給付(払戻)するというもので、もはや民間保険会社の医療保険に加入する意味がないとの考えも理に適ったものと理解できます。一方で、付加給付の対象はあくまで保険適用の場合のものに限られることもしっかりと認識しなければなりません。例えば昨今よく耳にする先進医療という最先端の医療技術を選択した場合には、技術そのものには健康保険が適用されず100%患者負担となります。差額ベッド代も同様、患者の全額自己負担です。また、がん治療の一つである抗ガン剤治療にも保険適用外のものがあります。そうなると「付加給付」は対象外となり、そうした際への備えが自身にとって必要か否か、必要であればどのくらい、どのように準備すべきか検討すべきでしょう。  

Qある程度の資産あり、生命保険金の受取人も配偶者で良い?

Q:妻の実家の家業を継いで30年、事業も順調でそれなりの資産を有しています。今後自分に何かあった際には、配偶者の税額軽減特例を活かし今まで自分を支えてくれた妻に全額相続させることを考えています。子どもが2人いますが、子ども達には私の死後妻に万一が起きた際に夫婦の財産を相続させるつもりです。現在、自分を契約者、被保険者とした生命保険に加入してますが、万一の受取人を妻にしています。このままだと2次相続が若干気になりますが、問題ありませんか?

A:問題ありです。生命保険に申し込みされる際、ほとんどの方が受取人を配偶者に指定されますが、子供がいてそれなりの資産をお持ちの方が、受取人を配偶者に指定されるのはあまりお勧めできません。なぜなら、将来二次相続(もう一方の配偶者も亡くなられた場合)が生じた際、その生命保険金も含め相続財産となるため、二次相続時の相続人(子供等)はより多くの相続税支払いを強いられる可能性があるからです。配偶者の税額軽減特例を利用するとなおさらその傾向が強まる恐れがあります。したがって、少しでも多くの財産を子供に残そうとするなら二次相続も視野に入れ、生命保険金の受取人は配偶者ではなく子供を指定するのも賢明な相続税対策の一つとなります。

Q年金タイプで受け取る死亡保険に加入、受取時一括で受け取るのとどちらが有利?

Q:夫が契約者、被保険者となっている年金受取タイプの死亡保険に加入しています。万一の際には、原則、年金で受け取るのですが一括で受け取ることも可能と聞きました。税金面も含めどちらの受け取り方が有利なのでしょうか?

A:一概にどちらが有利とは言えませんが、税金面でいうと一括受取にやや分がありそうです。契約形態から一括受取も年金受取(年金は年金受給権として)も相続税の課税対象となり、いずれも生命保険金の非課税枠も活用できます。一括受取はそこで課税関係は終了しますが、年金受取は2年目から雑所得としての課税が始まります。その後、雑所得の金額は計算上年々逓増していき受取期間の最終年度にピークを迎えます。一方、一括受取を選択し受取後、資産運用に自信があればNISA等での運用や一時払生命保険契約での運用等で収益部分を非課税で受け取ることが可能です。もちろん、収益どころかマイナス運用になることもあり得ますので、結果的にどちらが有利になるかは予断できないものです。

👉年金受給権の評価は…年金受給権の評価方法とは?|税金に関するQ&A|生命保険Q&A|生命保険を知る・学ぶ|公益財団法人 生命保険文化センター (jili.or.jp)

Q専業主婦ですが、葬儀代くらいは生命保険に加入して備える必要あり?

Q:2歳の子を持つ30歳の専業主婦です。夫の被扶養者として子育て優先で主婦業に専念していますが、もし自分に何かあった時に備えて葬儀費用程度の生命保険に加入すべきでしょうか?

A:ご夫婦に一定額の預貯金があれば不要と考えますが、預貯金があまりない、もしくはあっても将来のために取り崩したくないのであれば生命保険等で準備するのが賢明でしょう。その際に留意いただきたいのが、公的年金の遺族年金の存在です。現在、ご主人の扶養に入っていらっしゃるということは、国民年金の第3号被保険者と推察します。18歳までの子どもを持つ第3号被保険者が死亡した場合には第1号被保険者と同様、遺族に遺族基礎年金が支給されます(保険料納付要件あり)。子ども1人の場合、配偶者に1,023,700円(年額/令和5年度)が支給され、支給期間は子どもが18歳の3月末までです(受給者の夫に年収850万円未満の要件あり)。現時点で死亡されたとすると、16年間で1,637万円(102.3万円×(18歳-2歳))の総支給額となります。なお、葬儀費用について、最近注目の家族葬では参列者10~30人程度の費用相場は飲食接待費、お布施含め約100万円弱といわれています(第5回お葬式に関する全国調査2022年…鎌倉新書)ので、一つの目安とされてみてはいかがでしょうか。

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